初めての16拍——タンゴ・デ・マラガはパートごとに景色が変わる|フラバン収録曲 全曲解説⑥

こんにちは!

フラメンコギター池川です。

著書「フラバン!〜ゼロからはじめるフラメンコ伴奏ガイドブック」の収録曲を1曲ずつ紹介するシリーズ、今回は ⑥「タンゴ・デ・マラガ」です。

マラガ出身の歌い手エル・ピジャージョが歌ったのがはじまりとされる曲種。哀愁漂う雰囲気が特徴で、タンゴスと名前は似ていますが、聴けばまったく別の曲だとわかります。

そしてこの曲から、フラメンコの面白さが一段深くなります。キーワードは「パートごとにコンパスが変わる」です。

1曲の中に3種類のコンパスが同居する

フラバン紙面より:タンゴ・デ・マラガ(SAMPLE)

構成は、カンテ・サリーダ→エスコビージャ1→歌振り→ファルセータ→エスコビージャ2→タンゴス部分の歌振り→ハケ歌。

ここまでの曲は「コンパスの弾き方は1曲通してほぼ同じ」でしたが、タンゴ・デ・マラガは違います。基本コンパス、エスコビージャのコンパス、そして後半はタンゴスのコンパスと、パートごとに弾き方が切り替わる。1曲の中で景色が何度も変わるんです。

ファルセータ(ギターのメロディ演奏)も出てきて、ギタリストの見せ場も用意されています。

馬が駆けるイメージのエスコビージャ

フラバン紙面より:タンゴ・デ・マラガのコンパス(SAMPLE)

コンパスは16拍(8拍×2)。E7→Amの進行で、実はガロティン(次回)とコードを変えるだけでほぼ同じ弾き方ができます。フラバンではこの2曲を進行表で並べて書いているので、1曲覚えるともう1曲がおまけでついてくる構成です。

エスコビージャのパターン2は、アバニコを多用したリズム。本には「馬が駆けるようなイメージで軽快に」と書きました。踊り手の足技(サパテアード)とギターが噛み合ったときの疾走感は格別です。

コードはBm7(♭5)やF7など9種類とこれまでで最多ですが、押さえ方はすべてダイアグラムつき。1つずつ増やしていけば大丈夫です。

模範演奏と解説はこちらの動画でどうぞ。

ギターの音を抜いた練習用音源はフラバン音源のページにまとめてあります。

次回は、そのタンゴ・デ・マラガと兄弟のような関係の「ガロティン」。帽子をかぶって小粋に踊る、明るい曲種です。

※記事内の紙面画像は「フラバン!〜ゼロからはじめるフラメンコ伴奏ガイドブック」(池川寿一 著)より。

この記事のテキスト『フラバン!』

「フラバン!〜ゼロからはじめるフラメンコ伴奏ガイドブック」(池川寿一 著)。譜面が読めなくても弾けるオリジナルの「かんたん伴奏進行表」で全10曲を収録。全曲に模範演奏&解説動画とギター音無し音源つきなので、買ったその日から踊り手・歌い手と合わせる練習ができます。

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