こんにちは!
フラメンコギター池川です。
久しぶりにギターをケースから出して、昔よく弾いていた曲を弾いてみる。
「あれ、こんなはずじゃなかった」
指は動かないし、途中から思い出せない。せっかく弾こうと思ったのに、1曲目でがっかりしてしまう。
10年ぶり、20年ぶりにギターを再開した方から、こういうお話はよく聞きます。
今日は、そんな「ギターとの再会の日」の話です。
先に結論を言うと、昔の自分に追いつこうとする前に、比べてほしいものが2つあります。
それは「今日の最初」と「今日の最後」です。
1.昔の自分ではなく「今日の最初と最後」を比べる
久しぶりに弾いてがっかりするとき、頭の中では何と何を比べているでしょうか。
多くの場合、記憶の中の昔の演奏と、今日の1回目です。
昔の記憶は、いちばん調子のよかった頃の音で残っていることが多いですよね。そこへ、何年もケースに入っていた楽器と、久しぶりに動かす指で挑むわけです。これは、比べる前から勝負が決まっています。
昔は弾けたのに、で終わってしまうと、明日も「昔の自分に戻る」という大きな宿題がそのまま残ります。
だから、比べる相手を変えます。
今日弾き始めたときの自分と、今日の練習を終えるときの自分。
この2つなら、同じ手、同じ楽器、同じ日の条件です。ほんの少しでも変化があれば、それがちゃんと見えます。
2.好きな曲はそのままで「量」を小さくする
好きな曲から始めるのは、とてもいいことです。その曲を弾きたくて、楽器を出したんですから。
ただ、いきなり最後まで弾こうとすると、できなくなったところが次々に見えてきます。
そこで、曲は変えずに、量を変えます。
好きな曲を、短く取り出す。全部思い出せなければ、最初の1音でも、最初の和音1つでもかまいません。「今日はここに戻ってくる」と決めます。
過去の通知表を開くというより、今の自分の楽器にもう一度あいさつをするような感じです。
楽器の状態と位置も確かめる
長くしまっていた楽器なら、弦の状態やチューニングを確かめて、無理なく音が出せる状態にしましょう。気になるところがあれば、楽器店に相談してください。
もう一つ見てほしいのが、ギターの位置です。ネックが低い位置にあると、同じ場所に指を運ぶにも、腕や手首の向きが変わります。
ネックの高さや角度を少し変えて、肩を持ち上げずにいられるか。同じ音で比べてみてください。「今の形が正しいか間違いか」と決めつけずに、届き方が変わるかどうかを見るだけで大丈夫です。
3.今日の出発点を録音して、取り組むことを1つに絞る
次に、選んだ短い部分をスマホで録音します。
これは人に見せるための演奏ではありません。今日の出発点を残すためです。
速さは、思い出のテンポに合わせなくても大丈夫。自分で音を確かめられる速さにします。
録音したら、今日取り組むことを1つだけ選びます。
・指を置く順番を思い出すのか
・音をきれいに出すのか
・曲の入り方を確かめるのか
全部を一度に取り戻そうとしないで、「今日の1つ」を決めます。
止まる音の、少し前から取り出す
たとえば、あるコードで止まるとします。そのコードだけ弾いてみると、意外と音が鳴る。なのに、曲の途中では間に合わない。
この場合、困りごとはコードそのものではなく、その前の音からつながるところにあるかもしれません。止まった音は「結果が出た場所」で、準備が始まる場所と同じとは限らないんですね。
ですから、取り出す範囲は難しい音だけでなく、その少し前から少し後まで。長くなくて大丈夫です。何を直しているのか、自分で聞き取れる長さにします。
4.同じ部分をもう一度録って、聴き比べる
短く練習したら、同じ部分をもう一度録音します。
聴き比べるのは、昔の録音と今日の録音ではありません。今日の最初と、今日の最後です。
・音が出やすくなったか
・迷う場所がわかったか
・次の指を思い出せたか
もちろん、1回で変化が出ない日もあります。2つの録音がほとんど変わらないこともあるでしょう。
それでも、「曲全体が苦手」から「この指を動かすときに止まる」に変わったなら、次に試すことが見えてきます。
先生に相談するときも、「全然弾けません」より「この2つの音をつなぐと止まるんです」と見せられたほうが、話が進みやすいですよね。
練習の成果は、その場で上手になることだけではありません。自分の困りごとを小さく言えるようになることも、立派な成果です。
変化が見えない日は、「次に確認したいこと」が1つ言えれば十分です。
5.次に弾く「入口」を小さく決めておく
久しぶりの日ほど気持ちが盛り上がって、「よし、毎日1時間やろう」と決めたくなるかもしれません。
でも、まずは次に弾けそうな日と、最初に弾く場所だけ決めておきませんか。
たとえば、「週末の午後に、この短い部分から」。
休んだ日数を埋め合わせしようとしなくても大丈夫です。
忙しい日の3つの入口
時間が取れない日のために、入口を3つ用意しておくと続けやすくなります。
① ギターを持てる日は、短いフレーズを1回。時間があれば、その後を続ける
② 音を出せない日は、自分の録音を1回聴いて、気になる場所に目印をつける
③ 楽器も録音も開けないほど忙しい日は、次に弾く場所だけを1行メモする
この3つを全部やる必要はありません。その日にできる入口を1つ選びます。書くことや聴くことが演奏そのものの代わりになるわけではありませんが、次に弾くときの迷いを減らす準備にはなります。
ぼく自身も、忙しくてギターが弾けない日があります。そんなときは、本番や録音、レッスンの準備など、目の前の課題を決めて、「今日は10分しか取れないなら、この1小節、2小節だけなんとかやってみよう」というふうに、短く細かく、何かしらの成果を残せるように取り組んでいます。
それから、久しぶりの日は手の様子を見ながら、短く終える選択もあります。痛みが出たら、そこで中止してください。
まとめ:「昔は弾けたのに」を「次はここから」に変える
10年ぶりのギターで昔の曲が弾けないのは、ごく自然なことです。
大事なのは、昔の自分との差を数えることではなく、今日の最初と最後で小さな変化を見つけること。そして、次に弾く入口を小さくしておくことです。
今日やることは、この3つだけです。
① 好きな曲から、短い部分を1か所だけ取り出す
② 今日の最初と最後に、同じ部分を録音して聴き比べる
③ 次に弾く日と、最初に弾く場所を決めておく
若い頃にフォークギターを弾いていた方の再開の話は、「30年ぶりでも戻れる3つの理由」にも書いています。あわせてどうぞ。
みなさんが久しぶりに楽器を出したとき、最初に弾きたくなる曲は何ですか?よかったら動画のコメントで教えてください。
▼ 動画でも話しています
久しぶりにギターを弾いてがっかりした日に試してほしい「今日の最初と最後」の比べ方を、動画でもお話ししています。文章とあわせてどうぞ。
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