指が痛い・腱鞘炎が怖い人のための「関節に優しい」練習設計

こんにちは!

フラメンコギター池川です。

「先生、最近練習していると指が痛くなるんですが……」

こういう相談、月に何度か届きます。
特に多いのは、熱心に練習し始めた2〜3か月目ごろ。

「腱鞘炎になったらどうしよう」という不安を抱えながら、
でも弾くのをやめたくなくて、ちょっと無理しながら続けてしまう……。

その気持ち、すごくわかります。

ぼく自身も20代のころ、指が痛くなりながら無理して弾いて、
しばらく休まざるを得なくなったことがあります。
あのときの焦りと後悔は、今でもよく覚えています。

だからこそ、今日は「関節に優しい練習設計」の話をしたいと思います。
怖がって弾くのをやめるのではなく、賢く続けるための考え方です。

この記事の目次

フラメンコギターで指が痛くなる人に共通していること

結論から言うと、指が痛くなりやすい人には3つの共通点があります。

1. 力を入れすぎている
フラメンコはダイナミックな音楽なので、「強く弾かなければ」と思ってしまいがちです。
でも実際は、必要以上に力を入れると関節に負担がかかって、かえって音が硬くなります。
「音を出そうとして力む」ではなく、「重さを乗せてタッチする」感覚が正解です。

実はフラメンコの名手たちは、指先の力ではなく「腕の重さ」と「スピード」で音を出しています。
力で押しつぶすのではなく、弦を弾いた瞬間に指を素早く離す。
この感覚に気づくだけで、指の疲れ方がまったく変わります。

2. 手首や肘が窮屈な角度になっている
フォームが崩れると、手首や肘の関節が不自然な角度になり、
そのまま何十分も弾き続けることで炎症が起きやすくなります。
「何となく弾けているから大丈夫」というときが一番危ないです。
弾けているからこそ、痛みに気づかずに使い続けてしまうのです。

3. 休憩をとっていない
「今ここでやめたくない」という気持ちはよくわかりますが、
関節や腱は連続使用で確実に疲労します。
スポーツ選手が練習の合間に必ずインターバルを取るのと同じで、
ギターも「弾く・休む」のサイクルが必要です。
特にラスゲアードやピカードを集中的に練習している日は注意が必要です。

関節に優しいフォームの3つのポイント

フォームの話になると難しそうに聞こえますが、
ポイントは3つだけ覚えておけば十分です。

① 肘を体に押しつけない
右肘を体の側面にぐっと押しつけて固定する弾き方は、
肩・肘・手首すべてに余計な緊張を生みます。
肘は「ギターのボディにそっと添える」くらいの軽さでOKです。
これだけで肩こりや腕の疲れが半分近く減る人もいます。

② 手首をまっすぐに保つ(曲げすぎない)
手首を大きく内側や外側に曲げた状態で弾くと、
腱鞘への負担が一気に高まります。
鏡で自分の手首を確認してみてください。
理想は自然な延長線上、つまりほぼまっすぐです。
弾きやすさを求めて手首を曲げていることに、意外と本人が気づいていないことが多いです。

③ 左手の親指を反りすぎない
意外と盲点なのが左手の親指。
ネックをぎゅっと握るフォームになっていると、
親指の付け根あたりに痛みが出やすくなります。
ネックは「支える」ではなく「添える」程度の感覚で。
親指がネックの裏に当たるくらいの位置が、多くの人にとって楽なポジションです。

フォームの改善は、最初は「なんか弾きにくくなった」という感覚を伴います。
それは体が慣れる前の正常な反応なので、あわてて元に戻さないでください。
2週間ほど続けると、新しいフォームの方が自然になってきます。

練習時間より大事な「休憩のリズム」

「毎日1時間練習します!」という目標を立てる方が多いのですが、
ぼくがもっと大切だと思っているのは休憩の設計です。

たとえば「30分弾いたら5〜10分休む」というサイクルを守るだけで、
指への負担はかなり変わります。

スポーツと同じで、関節や腱は「使って・休む」を繰り返すことで強くなります。
休憩なしで1時間ぶっ通しで弾くより、
「30分×2セット」のほうが練習の質も高く、体への負担も少ない。
さらに言うと、集中力も「30分が限界」という研究もあるくらいです。

タイマーを使うのがおすすめです。
「30分後にアラームが鳴ったら必ず止める」と決めると、
ついつい続けてしまうクセが防げます(笑)

休憩中は指をぶらぶらさせたり、軽くストレッチするといいです。
ぐっと握ったまま休んでいても、腱は休まっていません。
手を開いて、血流を取り戻す時間にしましょう。

また、「今日は調子が悪い日」を作ることも大事です。
毎日同じ強度で練習するのは無理があります。
「今日は指がだるいな」と感じたら、ゆっくり弾く日にする。
それも立派な練習です。

痛みが出てしまったときの対処と再開の判断

「もう痛くなってしまった……」という場合は、まず完全に休むことです。

「少しくらい痛くても弾いていれば慣れる」というのは大きな誤解で、
炎症が起きているところに刺激を与え続けると、回復に倍以上の時間がかかります。

目安として、痛みがなくなってからさらに2〜3日休むのが鉄則。
「もう痛くないから大丈夫」と思って弾き始めて、
またすぐ痛くなるパターンが一番多いのです。

休んでいる間にできることもあります。
たとえば楽譜を読む、演奏動画を見る、コンパス(リズム)を手でとる練習。
指を使わずにできることは意外とたくさんあります。

再開するときは、最初は5〜10分から。
ゆっくりした曲、ピカードやアポヤンドなど関節への負担が少ない奏法から入って、
徐々に時間と強度を戻していきます。
最初の1週間は「物足りない」くらいでちょうどいいです。

痛みが2週間以上続く場合は、整形外科か接骨院に行くことをおすすめします。
「楽器弾いていて指が痛い」と正直に話せば、的確なアドバイスをもらえます。
ぼくも何度かお世話になりました(笑)
「ギターは医療機関と付き合いながら弾くもの」くらいの気持ちでいると、気が楽になります。

毎日5分の関節ケアルーティン

最後に、ぼくが実際に続けている「関節ケアの5分ルーティン」をご紹介します。
特別な道具は不要です。

【練習前】2分のウォームアップ
・手のひらを合わせてゆっくり押し合う(手首のウォームアップ・10秒×3回)
・指を一本ずつ根本からゆっくり引っ張る(5秒×5本)
・手を軽く握って開く、を10回繰り返す
・手首をゆっくり大きく回す(外回し・内回し各5回)

【練習後】3分のクールダウン
・指を一本ずつ背側にゆっくり反らす(痛くない範囲で、5秒×5本)
・手首を大きくゆっくり回す(左右各10回)
・人差し指・中指・薬指の付け根あたりをやさしくもみほぐす
・冷えていると感じたら、手のひらを合わせて温める

「たった5分でいいの?」と思うかもしれませんが、
毎日5分を続ける人と、月1回まとめてやろうとしてやらない人では、
数年後の指の状態に大きな差が出ます。

フラメンコは短距離走ではなく、長距離走です。
今日の5分の積み重ねが、5年後も弾き続けられる体を作ってくれます。

ぼくも40代になってから「指へのいたわり」を本気で意識するようになりました(笑)
若い頃に知っていれば……とよく思います。
だからこそ、ぼくの経験として伝えたくて書きました。
お互い、うまく体と付き合いながら、長くフラメンコを楽しんでいきましょう。

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