こんにちは!
フラメンコギター池川です。
「先生、指が痛くて…練習しすぎでしょうか」
レッスン中に、こう打ち明けてくれた生徒さんがいました。50代の女性で、仕事の合間に毎日コツコツ練習していた方です。
指の付け根がじんわり痛む、と。腱鞘炎が怖くて、どこまで練習していいかわからない、とも言っていました。
フラメンコギターを長く楽しむためには、「弾く技術」と同じくらい「体の使い方と休め方」が大事です。
今回は、指を痛めやすいパターンと、関節に優しい練習設計のコツをお伝えします。
① 指の痛みが出やすい3つのパターン
フラメンコギターで指や腱を痛めやすい場面は、おおむね次の3つです。
(1)力が入りすぎている
フラメンコのラスゲアード(連続指弾き)は、手全体が硬くなりがちです。「音を大きく出そう」と力むと、指の関節や腱に余計な負担がかかります。本当は、脱力した手首の回転が音を作るのに、力でなんとかしようとしてしまう。よくある落とし穴です。
(2)週末にまとめて長時間練習する
週末に2〜3時間まとめて練習するパターン。体が慣れていないのに急に酷使するので、腱や筋肉に炎症が起きやすくなります。毎日少しずつの方が、体への負担はずっと少ない。
(3)ウォームアップなしでいきなり難しいフレーズに入る
冷えた手のまま、いきなりピカード(速弾き)やゴルペ(打撃)を繰り返す。朝イチや冬場に特に起きやすいパターンです。
「自分はどれに当てはまるか」がわかるだけで、対策がグッと見えてきます。
② 関節を守る「練習の時間割」
指を守る練習設計で、いちばん大事なのがウォームアップと休憩のタイミングです。
【練習前:5分間の手のウォームアップ】
最初の5分は、音を出さない手の準備をします。
- 両手をグーパー(10回)
- 指を1本ずつ、ゆっくり優しく反らす
- 手首をゆっくり回す(内回し・外回し各10回)
- 指の腹と手のひら全体をもみほぐす
「たった5分?」と思うかもしれませんが、これだけで関節への負担が大きく変わります。ぼく自身、このウォームアップをサボった日は翌朝に違和感が残ることが多い。20年以上弾いていても、さぼれない工程です。
【練習中:30分に1度、手を下ろして休む】
集中しているとつい忘れてしまうので、タイマーを使うのがおすすめです。30分弾いたら5分、手を下ろして温める(寒い時期は特に)。指先を軽くマッサージするだけでも全然違います。
【難しいフレーズは「短時間・繰り返し」方式で】
ラスゲアードの新しいパターンや速いピカードは、1回の練習で長時間ぶっ通しでやるより、「1〜2分を1日3セット」に分けた方が、体への負担も少なく、上達も早い。分散練習と言います。腱にも脳にも優しいやり方です。
③ 痛みゼロで続ける生徒さんに共通する習慣
実は、何年も痛みなくフラメンコギターを楽しんでいる生徒さんに共通する習慣があります。
それは、「痛くなったら休む」ではなく「痛くなる前に止める」という発想です。
先ほどの生徒さん(指が痛くなった方)は、休憩ありの練習に切り替えてから、痛みがほぼなくなりました。それどころか、脱力が身について音がきれいになった、と言っていました。「体に優しくしたら上達した」というのは、ぼくが何度も見てきた現象です。
具体的な習慣をまとめると、こんな内容です。
- 練習前に必ずウォームアップ(5分で十分)
- 「少し足りない」くらいで止める(「もう1回」を我慢する)
- 弾き終わったら指と手首をほぐす(翌日の体のコンディションが変わります)
- 違和感が出たら即日休む(2〜3日休んでも弾けなくなることはない)
「でも、毎日弾かないと下手になりそうで…」という声もよく聞きます。じつはそれ、反対なんです。
疲れた手で無理に弾き続けるより、1日しっかり休んで翌日ベストな状態で弾いた方が、筋肉も運動記憶も定着しやすい。「今日は手を休める日」を意図的に作るのも、立派な練習の一部だとぼくは思っています。
④ 痛みが出てしまったときの対処
それでも、うっかり痛みが出てしまうこともあります。そのときに知っておいてほしいことを。
まず、弾くのを止める
「少し痛いけど弾けば慣れるかな」は危険です。腱鞘炎は急性期に無理をすると慢性化します。痛みを感じたら、その日の練習は終了にしましょう。
アイシングか温め、どっちが正解?
急性期(じんじん・ズキズキ・熱感がある)はアイシング15〜20分。慢性期(重い・だるい・熱感なし)は温めが基本です。自己判断が難しければ、早めに整形外科へ。
2〜3日休んでも技術は落ちない
ここが意外と信じてもらえないのですが、2〜3日休んでも技術は落ちません。むしろ腱や筋肉の回復を待ってから再開した方が、早く元の感覚に戻れます。慌てて再開して悪化するパターンの方が怖い。
慢性的な痛みや指のしびれが続く場合は、必ず医師に診てもらってください。ギタリストとしてのぼくが言えるのはここまでです。
大切なのは、長く楽しく弾き続けること。そのために体との対話を忘れないでください。
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