池川です。
新しい本が出ました。
「週末フラメンコギタリストという生き方」
〜弾き続けてきたギターが、副収入になり、誰かの「ありがとう」になるまで〜
この記事の目次
この本を作ったきっかけ
週末フラメンコギタリスト養成塾を始めて、しばらく経ちます。
全国各地から来てくれる受講生の方たちを見ていて、ずっと感じていたことがありました。
「この人たちの話、ちゃんと伝えたい」
エレキギターでバンドをやってきた方。クラシックギターを40年続けてきた方。定年後にアコースティックギターを持ってきてくれた方。
ジャンルも年齢も、バラバラです。
でも、みんな同じ気持ちを持って来てくれているんですよ。
「このギター、もっと誰かのために使えないだろうか」
その気持ち、ぼくはものすごくわかります。
ぼく自身、大学3年の終わりにある友人の一言で、人生が動き始めた人間ですから。
「フラメンコって踊り手はたくさんいるけど、伴奏できるギタリストが少ないから需要があるんですよ」
その言葉がなかったら、今のぼくはなかったと思っています。
今の日本のフラメンコ界には、こんなリアルがあります。
フラメンコ教室の数は、本場スペインを超えて世界一。
なのに、踊り手の前でギターを弾ける人が、圧倒的に足りていない。
「一番近いギタリストに来てもらうのに、片道3時間かかります」
先日、ある地方都市のフラメンコの先生からそんな話を聞いて、ぼくは少し言葉を失いました。
県庁所在地で、ですよ。
この空白を、あなたのギターで埋められるかもしれない。
そう思って、この本を書きました。
どんな話なの?
フラメンコギターの教則本ではありません。
「週末だけ、地元で、自分のペースで」活動する、等身大のフラメンコギタリストという生き方の話です。
◆ なぜギタリストが足りないのか
◆ エレキでも、クラシックでも、アコギでも、ジャズでも活きる理由
◆ 伴奏・講師・アーティスト、3つの道のリアル
◆ お金の話(正直に書きました)
◆ 「遅すぎる」ということはない、40代・50代・60代の実例
◆ 最初の3歩、どこから動けばいいのか
全部、包み隠さず書いています。
こんな人に読んでほしい
◆ ギターを弾いてきたけど、一人で弾いているだけでいいのか、と感じている方
◆ バンドが解散して、弾く場所を失ってしまった方
◆ 発表会以外に弾く機会がないクラシックギタリスト
◆ ブランクがあって、どこから再開すればいいかわからない方
◆ 定年後に「ギターで誰かの役に立ちたい」と思っている方
「フラメンコなんてやったことない」という方こそ、読んでほしいです。
むしろそっちの方が読んでほしい(笑)。
目次
はじめに あなたのギターが、必要とされている場所がある
第1章 ギターで「ありがとう」と言われる日
第2章 日本全国に、ギタリストが足りていない
第3章 あなたのジャンル経験は、最短距離にある
第4章 ぼく自身の、20年の軌跡
第5章 フラメンコギタリストの、3つの道
第6章 お金の話を、正直にします
第7章 教えるということ
第8章 遅すぎる、ということはない
第9章 週末フラメンコギタリストへの、最初の3歩
第1章公開
第1章 ギターで「ありがとう」と言われる日
ぼくが主宰する「週末フラメンコギタリスト養成塾」は、全国各地のギター経験者を対象にした個別指導プログラムです。フラメンコ未経験でも、ブランクがあっても、ジャンルを問わず参加できる。受講生は東京、大阪、福岡、北海道と全国各地に在籍していて、年齢も20代から70代まで幅広い。
この塾を通じて、ぼくは今までに全国のギタリストたちが伴奏デビューする瞬間を、何度も目の当たりにしてきました。この章では、その中でもぼく自身の原点と言える二つの物語を書きます。
初めての伴奏は、散々でした
6歳からギターを弾き続けてきたぼくが、初めてフラメンコの伴奏に挑戦したのは、大学3年の終わり頃のことです。学生フラメンコ連盟のサークルに初めて足を踏み入れた時から、ぼくはずっと「わからない」の連続でした。
それまで弾いてきたのはソロギター。楽譜を見て、自分のペースで弾く。それだけでよかった。
でも伴奏は違う。踊り手が動く。歌い手が歌う。それに合わせてギターを弾く。どこで止まるのか、どこで速くなるのか、合図はどこなのか。何一つわからない。楽譜もない。勘だけで弾こうとして、何度もズレた。
「ちょっと待って、今のリズム、ぜんぜん違う」
練習中、踊り手にそう言われるたびに頭が真っ白になりました。ある時は踊り手が泣いてしまったこともある。「合わせられなくて、踊れない」と。ぼくのせいだとわかっていました。でも、どうすればいいのかわからなかった。
それでもサークルに通い続けたのは、仲間がいたからです。同じように悩んでいる踊り手がいた。「わからない」と言い合えるギター仲間がいた。練習が終わると近くのファミレスに集まって、深夜まで話した。フラメンコのこと、音楽のこと、これからのこと。
今振り返ると、あの時間がぼくの全部でした。
そして、生まれて初めて舞台に立つ日がやってきました。ある大学の文化祭。踊り手の伴奏をすることになった。当日、ぼくが心に決めたことはひとつだけでした。
「間違えても、止まらない」
演奏中、何か所か間違えました。リズムがヨレた瞬間もあった。それでも、止まらなかった。自分のギターに合わせて、踊り手が踊っていました。歌い手が歌っていました。
終わった瞬間、何かが解けるような感覚がありました。練習の日々が、仲間の顔が、泣かれた夜のことが、一気に押し寄せてきて、気づいたら泣いていました。ギタリスト人生で、初めて泣いた夜でした。
「ありがとうございました」
もう一つ、最近のエピソードを話させてください。
ぼくの養成塾の受講生に、定年を迎えた後に来てくれた方がいました。最初の面談で、こうおっしゃっていた。
「仕事と家の往復だけの毎日でした。ギターはずっと好きだったけど、誰かのために弾いたことは、ほとんどなかったんです」
長年アコースティックギターを弾いてきた方でした。フラメンコはまったく未経験。それでも「誰かのために弾いてみたい」という気持ちだけを持って、来てくれた。
レッスンを重ねて、数ヶ月後。その方は地元のフラメンコ教室で、初めて踊り手の前でギターを弾きました。完璧ではなかったかもしれません。でも、止まらずに最後まで弾き切った。
踊り終わった踊り手が言った言葉は──
「ありがとうございました」
たった一言でした。でも、その方の表情がまったく変わりました。後日、ぼくにこう話してくれたんです。
「池川さん、ギターってこんなに人を喜ばせられるんですね。もっと早く知りたかったです」
この瞬間が、何度見ても胸が熱くなります。長年一人で弾いてきた人が、初めて「誰かのために弾く」経験をする瞬間。その一言で、その人のギター人生が変わるのを目の前で見る瞬間。ぼくがこの仕事をしていて、一番嬉しい瞬間のひとつです。
フラメンコは、ギタリストを「必要としている」
少し、他のダンスジャンルと比べてみます。バレエは、ピアノや管弦楽の録音に合わせて踊ることが多い。ヒップホップは、スピーカーから流れる音楽に合わせて踊る。社交ダンスも、ジャズダンスも、基本的にはCDや音源を再生して、その音に乗って踊る形がほとんどです。
でもフラメンコは違います。フラメンコは、生演奏がベースです。踊り手がいて、歌い手がいて、ギタリストがいて、三者がその場で音楽を作り上げていく。これは、ギタリストにとって何を意味するか。
「仕事がある」ということです。
バレエの発表会にフラメンコギタリストは必要ない。ヒップホップのライブにも、生演奏のギタリストが呼ばれることはほとんどない。でもフラメンコの発表会には、ギタリストがいなければ始まりません。フラメンコ教室のレッスンにも、ギタリストがいると全然違う。タブラオ(フラメンコのショーを見せるレストランのこと)にも、ギタリストが必要です。踊り手がいる場所に、必ずギタリストへの需要がある。
そして日本全国に、フラメンコの踊り手はたくさんいる。けれど、ギタリストが圧倒的に足りていない。この構造が、何十年も変わっていません。
この空白を、あなたが埋められるかもしれない
──次の章から、その話をしていきます。
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ぼくが書いた言葉を、次の誰かに届けてくれる力になります。
どうぞよろしくお願いします。
ではー!
池川寿一























