こんにちは!
フラメンコギター池川です。
同じところで毎回止まると、「また最初からやり直そう」となりやすいですよね。
曲の最初は弾けるのに、ある場所まで来ると止まる。そしてまた頭に戻る。これを何度も繰り返していると、通して弾いている時間は長くても、止まる場所そのものを細かく見る時間は少なくなります。
もちろん、最初から最後まで通す練習には意味があります。曲全体の流れをつかんだり、本番に近い一回を大切にしたりするには、通して弾く時間も必要です。だから、通し練習をやめるという話ではありません。
1.止まった音ではなく、その少し前から見てみる
「今日はこの難所だけを直したい」というときは、曲を最後まで進めることより、止まる場所の前後で何が起きているかを見る時間にします。
たとえば、止まったところがコードなら、そのコードだけを単独で鳴らすと弾ける。でも曲の中に戻すと間に合わない。
そんなとき、困っている場所はコードそのものではなく、その前の音からどうつなぐかにあるかもしれません。
ぼくが大事だと思っているのは、
「止まった音は結果が出た場所です。準備が始まる場所とは同じとは限りません」
という見方です。
止まった瞬間だけを見ると、そこで何かが起きたように感じます。でも、準備はその少し前から始まっていることがあります。
だから難所を見るときは、止まった音だけではなく、少し前から少し後までを短く取り出してみます。
ここで大事なのは、長く取りすぎないことです。長く切り出すと、最初から弾き直すのとあまり変わらなくなり、どこで変化したのか自分で聞き取りにくくなります。
反対に、止まった音だけにすると、そこへ入る準備や、その後へ出ていくつながりが見えません。
目安は、自分で変化を聞き取れる短さです。
1小節かもしれませんし、1〜2小節かもしれません。決まった長さに合わせる必要はありません。今見たい場所が、自分の耳で比べられる範囲に収まっているかを大切にします。
もし同じ場所で止まっても、そのたびに曲の頭へ戻っているなら、一度だけ戻らずに立ち止まってみてください。
「どの音で止まったか」だけでなく、「その音に入る前はどうだったか」を見るだけでも、練習の焦点が変わります。
2.5分なら「録音→一つだけ変える→再録音」
短く切り出せたら、次は一度録音してみます。スマホで十分です。
うまく弾けた記録を残すためではなく、今どうなっているかを、あとで同じ場所で比べるためです。
5分しかないときの配分例なら、こんな順番です。
最初の1分:見る場所を決めて、一度録音する。
次の2分:速さなど、一つの条件だけを変えて試す。
4分目:難所の前後をつなぐ。
最後の1分:同じ場所をもう一度録音する。
この5分は、時間どおりに進めるための試験ではありません。
1分を過ぎたから失敗、最後まで全部できなかったから失敗、という意味ではありません。「場所を決める」「一つ変える」「つなぐ」「もう一度聞く」という順番を持つための配分例です。
もし最初の1分で場所を決めるのに時間がかかったなら、そこまででも構いません。どこを見るか決められたこと自体が、次の練習の入口になります。
5分で結果を出すことより、何を観察するかを曖昧にしないことを優先します。
次に大事なのが、一度にたくさん変えないことです。
指使いも変える、姿勢も変える、速さも変える、と同時に触ると、あとで何が影響したのか分かりにくくなります。1回につき一つの条件を見ます。
たとえば、まず速さだけを変えてみる。それでも音が鳴らないなら、さらに1音ずつ見ます。
速さを落としただけでつながりが見えるのか、それでも難しいのか。それを確かめるだけでも、次に見る場所が変わります。
変化を見るときも、全部を採点しなくて大丈夫です。
「止まる回数」か「音が聞こえるか」など、一つだけ選びます。速さを変えて練習しても、比較の録音は同じ場所・同じ速さに戻すと違いを聞き取りやすくなります。「余分な力が減るか」を見る日は、録音だけで判断せず、弾いているときの感覚も確認します。
録音を聞いて、はっきりした変化がないこともあります。でも、それも無駄ではありません。
「曲全部が苦手」から「この2音で止まる」に変わっただけでも、困り事を言葉にしやすくなります。
先生に相談するときも、「ここが難しいです」だけではなく、「この前から入ると、この2音で止まります」と伝えやすくなります。
録音は評価のためだけではなく、観察のために使えます。
大きな変化を探すのではなく、何が同じで、何が少し変わったかを見る。一回の練習で全部直そうとしないほうが、一つの変化を追いやすくなります。
3.弾けたら曲の頭へ戻らず、入口と出口を少し広げる
短く取り出した部分が弾けるようになったら、すぐ曲の頭へ戻るのではなく、入口を少し前へ、出口を少し後ろへ広げます。
難所だけが単独で弾けても、曲の流れの中で同じように弾けるとは限らないからです。
難所そのものなら弾けるのに、少し前から入るとまた止まる。
この場合は、広げた場所に準備不足がないか、先を急いでいないかを見ます。
部分練習ができたあとに前後をつなぐのは、そこで初めて「曲の中で使える形」になっているかを見るためです。
反対に、出口を少し後ろまで広げたら崩れることもあります。
その場合も、すぐ曲の頭へ戻るのではなく、どこから変わったかを見ます。入口を広げたときに止まるのか、出口へ向かうと急ぐのか。
見る範囲を少し広げても、観察するポイントは一つにします。
指を全部一度に置く必要があるかどうかは、フレーズによります。
音の順番に準備していける場合もあります。ただし、残すべき響きを勝手に離してしまうと別の音楽になってしまいます。
だから「早く準備する」ことだけを目的にせず、そのフレーズで何を残すのかも見ます。
ここでも、問題を大きくしすぎないことが大切です。
「この曲が弾けない」ではなく、「この入口から入ると止まる」「出口へつなぐと急いでしまう」と見られれば、次に試すことが絞れます。
通す時間と、難所を観察する時間は、目的が違います。どちらか一方だけが正しいのではなく、今は何をしたいのかを決めて使い分けます。
流れを確認したいなら通す。止まる場所を細かく見たいなら短く切る。
その目的を先に決めると、最初から弾き直す回数を増やす前に、別の方法を試せます。
4.忙しい日は「弾く・聴く・書く」から一つだけ
忙しい日は、5分さえ取れないこともあります。
そんな日は、短いフレーズを1回だけ弾く、録音を1回だけ聞く、次に見る場所を1行だけメモする。この三つから一つを選ぶだけでもかまいません。
聴くことや書くことは、弾く代わりではありません。
でも、次にギターを持ったときの迷いを減らす準備にはなります。
何をするか決めずに最初から弾き始めるより、「次はここを見る」と分かっているだけで、練習の入口を作りやすくなります。
ぼく自身も、レッスンや録音、本番準備まで含めて、もし10分しかなければ、1〜2小節を細かく練習します。
曲全部を一度に見ようとはしません。そのとき必要な場所を小さく取り出して、そこで何が起きているかを見ます。
時間が短い日は、「今日はこれしかできなかった」と大きな反省会にしないことも大切です。
短いフレーズを一回弾いた、録音を一回聞いた、次に見る場所を一行残した。それぞれが次の練習への準備になります。
練習を大きな反省会にしない。1回につき一つのポイントの観察です。
毎回同じところで止まるとき、必要なのは「もっと最初から弾くこと」とは限りません。
止まった場所の少し前を見て、短く取り出し、一つだけ条件を変え、前後につなぎ、同じ場所をもう一度聞く。
今日5分あるなら、まず一か所だけで試してみてください。
▼ 動画でも話しています
止まる場所の取り出し方と、5分の練習の進め方を本編でも説明しています。文章とあわせてどうぞ。
今日の5分を、練習ノートに
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