こんにちは!
フラメンコギター池川です。
ギター合わせが終わって、「大丈夫ですか?」と聞かれる。
本当は、さっきのところがよく分からなかった。でも、ほかの人も待っているし、うまく説明できる自信もない。
「はい、大丈夫です」
そう答えてしまって、帰り道に「ああ、聞けばよかった……」。
踊る方から、本当によく聞くお話です。
ぼくは普段、伴奏する側に座っています。その立場から先にお伝えすると、伴奏者は「もう一度お願いします」を迷惑だとは思っていません。むしろ困るのは、分からないまま本番を迎えてしまうことのほうです。
とはいえ、「言っていいよ」と言われても、言い方が分からなければ口は開きませんよね。
今日は、ギター合わせで使える短いお願いの作り方を、例文つきでまとめます。
1.「大丈夫です」と答えてしまうのは、お願いが長くなるから
「こんなことも分からないのかと思われそう」
この気持ちがあると、質問ってどんどん長くなります。
・家ではできていた話
・前のレッスンで言われた話
・さっき失敗した理由
全部を説明してからお願いしようとすると、言い始めるまでに次の曲が始まってしまう。結果、「大丈夫です」で終わる。
つまり、言えない原因は勇気が足りないことだけではありません。お願いの前置きが長すぎて、言い出すタイミングを逃していることが多いんです。
伴奏者の側から見ても、長い説明より、短いひと言のほうがすぐ動けます。前置きは、思い切って削って大丈夫です。
2.お願いは「場所・困りごと・お願い」の3つで一文にする
先に、そのまま使える言い方を一つ。
「最初の歌のあと、入る場所が分からなくなりました。その少し前から、もう一度お願いできますか?」
これくらいで十分です。
作り方は、紙に3つ書くだけ。
・場所:最初の歌のあと
・困りごと:入るところが分からない
・お願い:少し前から、もう一度
この3つをつなぐと、さっきの一文になります。
どこで困ったかと、何を確かめたいか。この2つが伝われば、伴奏者は一緒に考え始められます。専門用語を立派に並べる必要はありません。
うまくいかない例も並べておきますね。
・「なんか、全体的に合ってない気がして……」→ どこを弾き直せばいいか分からない
・「すみません、下手で……」のような謝罪だけ → 何を確かめたいかが伝わらない
・「さっきのところ」だけ → 伴奏者と踊り手で思い浮かべる場所がずれやすい
謝る言葉は、あってもなくても大丈夫。大事なのは、場所とお願いが入っているかどうかです。
3.場所の名前が分からなくても、動きで伝えれば通じる
「場所」と言われても、その部分の名前が分からない。そういう方も多いと思います。
名前が分からなければ、動きで言えば大丈夫です。
「後ろを向いてから足を打つところです。あそこへ入る前の音を、もう一度聴かせてもらえますか?」
伴奏者は、踊りを見ながら弾いています。「後ろを向くところ」「手を上げて止まるところ」と言われれば、たいてい場所は分かります。
ただ、同じ動きが何度も出てくる曲もありますよね。そんなときは、手がかりを一つ足します。
・「一回目の歌のあとにある、その場所です」
・「終わりに近いほうの、足が続くところです」
振付メモを指さしたり、その場で少し動いて見せたりしても構いません。
そして、相手が「ああ、そこね」と分かったら、場所の説明はそこでおしまい。分かったかどうかを確かめずに話を重ねると、お互い違う場所を思い浮かべたまま進んでしまうことがあるからです。
4.テンポや音量の相談は「何が起きたか」を先に伝える
次は、テンポが合わなくて困る場合です。
「速いです」だけだと、伴奏者にはいくつもの可能性が浮かびます。
・最初から速いのか
・途中で速くなったのか
・特定の足だけ追いつかないのか
ここを分けて伝えると、ぐっと話が早くなります。
「始まりの速さは大丈夫でした。足が続くところで追いつかなくなったので、そこを少しゆっくり確認できますか?」
もう一つ、「ギターをもう少し大きくしてください」と頼みたくなる場合。
ここは、音が聞こえにくいのか、音は聞こえるけれど合図が分からないのかを分けてみてください。
「足を打つと、次に入る合図の音が聞こえません。まず足を止めて、その音だけ確認してもいいですか?」
原因がまだ分からないうちは、「大きくして」「遅くして」と解決方法まで決めなくて大丈夫です。何が起きたかを伝えてもらえれば、立ち位置を変えるのか、弾き方を変えるのか、合図をはっきりさせるのか、一緒に考えられます。
もちろん、歌や振付、全体の流れもあるので、希望どおりに全部変えられるとは限りません。それでも、同じ問題を見ながら相談できるだけで、合わせの時間はずいぶん変わります。
5.「いつ聞くか」を先に決めておくと、言いやすくなる
言い方と同じくらい大切なのが、いつ聞くかです。
今は通しの練習なのか、途中で止めて確認していい時間なのか。これが分からないと、「止めたら悪いかな」と飲み込んでしまいます。
そんなときは、合わせの最初にこう伝えておく方法があります。
「今日、一か所確認したいところがあります。通したあとに相談してもいいですか?」
先に質問の時間を予約しておくイメージです。こう言ってもらえると、伴奏者の側も「あとでそこを見よう」と気にかけながら弾けます。
群舞の場合は、先生や代表の方を通して確認したほうが進めやすいこともあります。クラスのやり方に合わせてくださいね。
時間が短い日は、いちばん不安な一か所だけを選びます。そこが確認できたら、「今の入り方で、もう一度だけ試せますか?」と確かめる。ここまでできれば十分です。
6.分かったことを一行残して帰る。そっけない日があっても大丈夫
確認できたら、通じた内容を紙やスマホに一行残して帰りましょう。
・「最初の歌のあと、ギターの低い音が2回鳴ったら入る」
・「足が続くところは、ギターが先に少しゆっくりになる」
「質問できた」で終わらず、何が分かったかを残すところまでできると、家の練習にそのままつながります。
その日に確認できなかったときは、「では、次はいつ確認できますか?」と相談しても構いません。次に確かめる場所が決まれば、ずっと一人で抱える状態からは一歩進めます。
それから、正直なお話もしておきますね。
丁寧に聞けば、必ず優しく返ってくる……とまでは言えません。相手にも、その日の時間や事情があります。
ただ、反応がそっけなかった一回で「自分は質問してはいけないんだ」と決めなくていいんです。聞きづらさが続くなら、先生に相談する、別に確認の時間を取ってもらう、という方法もあります。
伴奏者が、こちらの不安を全部察してくれるとは限りません。だからこそ、場所・困りごと・お願い。この3つを短く渡すことが、一緒に合わせるための準備になります。
まとめ:次の合わせの前に、お願いを一文だけ書いておく
・「大丈夫です」と答えてしまうのは、お願いの前置きが長いから
・お願いは「場所・困りごと・お願い」の3つで一文に
・場所の名前が分からなければ、動きと「何回目か」で伝える
・テンポや音量は、解決方法より「何が起きたか」を先に
・質問の時間は、合わせの最初に予約しておく
・分かったことを一行残して帰る
次の合わせへ行く前に、スマホでも紙でもいいので、お願いを一文だけ書いてみてください。
発表用の立派な文章にしなくて大丈夫。ギター合わせに、原稿用紙を十枚持っていかなくていいですからね。
皆さんが合わせで、言いたかったのに飲み込んでしまった一言は何ですか? 相手の名前は書かずに、よかったら動画のコメント欄で教えてください。
▼ 動画でも話しています
今日の例文を、ぼくの声でもお話ししています。次のギター合わせの前に、一度聞いておくと言い出しやすくなりますよ。
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