こんにちは!
フラメンコギター池川です。
「マンションに住んでいるので、練習できる時間が限られていて……」
体験レッスンのとき、こんな話をしてくれる方がよくいらっしゃいます。
さらにこんな言葉が続くこともあります。
「家族に『うるさい』って言われてから、なかなかギターを出せなくて」
聞くたびに、もったいないなあ、と思います。
せっかく始めたフラメンコギター。音量の問題だけで諦めるなんて、あまりにも切ない。
今日は、ぼくが実際に試してきた消音グッズの話、ギターを持たなくてもできる練習、そして家族を味方につける伝え方まで、まとめてお伝えします。
ちなみに最後のやつが、いちばん効きます(笑)。
「うるさい」で練習を断念する人が実は多い
フラメンコギターの音量について、正直に言います。
けっこう大きいです(笑)。
クラシックギターより音の張りが強く、そこにゴルペ(ボディを叩く奏法)が加わります。隣の部屋の人からすると、音楽というより「誰かが日曜大工を始めた」ような音に聞こえることがあります。マンションや壁の薄い戸建てでは、家族や近隣に響きやすいのは事実です。
ぼくの教室でも「家族に反対されて練習できなくなった」「いつの間にかギターが押し入れに眠っている」という話は珍しくありません。
ギターが押し入れで眠り始めたら、それはもう冬眠です。春が来ても、自分では出てきません。
でも安心してください。これ、解決できます。
いくつかの工夫を組み合わせると、家族に気を使いながらでも十分な練習量を確保できます。
消音グッズ実測比較——ぼくが実際に使って効果があったもの
物理的に音を小さくする方法を3つ紹介します。
① サウンドホールカバー(一番おすすめ)
ギターの丸い穴(サウンドホール)をふさぐカバーを差し込むだけで、音量が体感で30〜40%ほど下がります。フラメンコギター用は通販で1,500〜3,000円ほど。弦の響きと指の感触はほぼそのままなので、音感やタッチの練習に支障がありません。ゴルペの音もある程度吸収されます。費用対効果が一番高いので、まずこれを試してみてください。
② 膝の上にクッション・毛布を置く
折りたたんだクッションや毛布をひざに乗せ、その上にギターを置いて弾く方法。響板に布が触れることで音が吸収されます。ぼくが試した中では「サウンドホールカバー+膝のクッション」の組み合わせが一番効果的でした。かなり小さな音になります。
見た目は、ちょっと寒がりの人みたいになります。でも効きます。
③ 押し入れ・大きなクローゼットの中で弾く(※半分ジョークです。でも本当に効きます)
これは最終手段。衣類が音を吸収してくれるので、消音効果は抜群です。壁からの反響も消えるので、音の解像度が上がるという副産物までついてきます。
そもそもフラメンコは、洞窟(クエバ)で歌われ、弾かれてきた音楽です。つまり押し入れにこもってギターを弾いているぼくらは、我々はジプシーのように、洞窟で魂の音楽を鳴らしている——ということになりませんか。
なりませんか。そうですか。
現実には、夏は3分でサウナになりますし、扉を開けた家族に「そこで何してるの……?」と、うるささとは別の理由で心配されます。
でも、どうしても音を出したい夜が人生には何度かあります。そういう日は、洞窟に入ってください。ぼくは何も見なかったことにします。
参考として、ヤマハのサイレントギター(クラシック仕様)をフラメンコ練習に使う方もいます。音はかなり小さくなりますが、弦のテンションや共鳴感が本物のギターとは別物。「指の動き確認」には使えますが、音づくりの練習には向きません。消音専用と割り切るなら選択肢のひとつです。
「音を出さない練習」の中身——ギターを持たなくてもできること
消音グッズを使っても、どうしても音が出る場面はあります。
そんなときは、ギターをまったく持たない練習が意外と使えます。
テーブルで左手の運指練習をする
フラメンコギターの左手は、指を大きく押さえる動作が多い。テーブルや膝の上で指を押し付ける動作を繰り返すだけで、指の独立性や指先の力を鍛えられます。テレビを見ながら、通勤電車の中でもできます。
電車でやると、隣の人にちょっと不思議な顔をされます。気にしないでください。ぼくも気にしていません(強がり)。
コンパス(リズム)をパルマ(手拍子)で叩く
フラメンコはリズムが命。ソレアやブレリアのコンパスを手拍子で叩くだけでも、立派な練習です。タオルを使えば音量を抑えながらリズム感を磨けます。就寝前のルーティンにしている生徒さんもいます。
ただし、暗い寝室で無言のままタオルを叩いていると、家族に別の心配をされます。ひとこと説明してから始めましょう。
頭の中でイメージ練習をする
ギターを持たずに、弾く動作を頭の中でシミュレーションする練習。スポーツのメンタルリハーサルと同じ原理で、ぼくの実感では想像以上に効果があります。移動中や入浴中にも使えます。
これらを組み合わせると、「音を出せない時間帯」でも練習が積み重なります。1日の中で音を出す時間は30分でも、音を出さない練習を含めると実質1時間以上の練習になる、という方もいます。
時間帯と場所の工夫——音が漏れにくい環境をつくる
消音グッズや音なし練習に加えて、「いつ・どこで弾くか」も大切なポイントです。
練習ウィンドウを見つける
家族が一番機嫌のいい時間帯に弾くのが、実は最大の消音対策かもしれません(笑)。
家族が外出している・食後でくつろいでいる・子どもが宿題や読書に集中している——そういう「練習ウィンドウ」を1週間観察するだけで必ず見つかります。
家族の機嫌をカレンダーに記録し始めたら、それはもう立派なフラメンコの修行です。真剣なやつです。
また、「毎週火曜と木曜の19時から30分」のようにルーティン化すると、家族も慣れてきます。不意打ちの音より、毎週決まった時間の音の方が、家族にとってずっと受け入れやすい。
部屋の中での場所を選ぶ
同じ部屋でも、場所によって音の伝わり方は変わります。窓から離れた場所・部屋の隅よりも中央寄り・フローリングよりカーペットの上が音を漏らしにくいです。
夜遅い時間は、ご近所への配慮も忘れずに。隣の部屋の方にとって、深夜のブレリアはちょっとしたホラーです。
ぼくの生徒さんで、防音カラオケルームを週1回借りて思い切り弾くという方もいました。「月3,000〜4,000円で、家族を気にせず2時間弾ける時間が買えた。むしろ上達した」とおっしゃっていました。練習場所をアウトソースするのも一つの手です。
家族を味方にする一言——伝え方を変えると応援してもらえる
最後に、これが一番大事かもしれない話をします。
「うるさくてごめん」と謝り続けるより、伝え方を変えると、家族との関係がずっとよくなります。
ぼくがおすすめするのは、目標と期間をセットで伝えること。
「来年3月の発表会で1曲弾けるようになりたいから、それまで週3日だけ練習させてほしい」
「毎日じゃなくて、火曜と金曜の夜30分だけ」
期間と回数が明確だと、家族も「あと○ヶ月か」と協力しやすくなります。「ギターを弾き続けたい」という漠然とした言葉より、「○月の発表会まで」の方が、圧倒的に家族の反応が変わります。
ぼくの経験では、最初は「うるさい」と言っていた家族が、1年後には「さっきのフレーズ、よかったね」と声をかけてくれるようになったケースが何度もあります。
そうなったらもう勝ちです。堂々と、押し入れから出てきてください。
続けていると、家族の見る目が変わっていく瞬間が必ず来ます。まず今日、1つだけ試してみてください。
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