こんにちは!
フラメンコギター池川です。
「発表会はちょっと…まだ早いと思って」
レッスンでこう話してくれる方は、本当によくいます。
気持ちはわかります。人前で弾くのは怖いですよね。ぼく自身、初めての舞台では足がガクガクしていました(笑)
でも、発表会に出た人と出なかった人では、1年後にはっきりとした差が出ます。ぼくが長年生徒さんを見てきて、確信を持って言えることです。
今日は「なぜ発表会がここまで上達を加速させるのか」を、具体的なエピソードとともに書いてみます。
締め切りが「上達スイッチ」を入れる
「発表会まであと2ヶ月」と決まった瞬間、人は変わります。
ぼくはこれを「締め切り効果」と呼んでいます。
たとえば、ずっと「なんとなく弾けてる」状態で止まっていた方が、発表会エントリー後に急に弾き込み始める。週1回だった自主練が、毎日5分でも触るようになる。
心理学では「締め切り(デッドライン)があると行動量が増える」ことが実証されています。フラメンコギターも例外ではありません。
「いつかうまくなったら」の「いつか」は、締め切りがないと永遠に来ないのです。
発表会のエントリーは、その「いつか」に日付を入れる行為です。
「人前で弾く」は最難関の練習——なぜ普段できることが崩れるのか
「家では弾けるのに、人前に立ったら頭が真っ白になった」
これは誰もが通る道です。ぼくもそうでしたし、プロでもそういう瞬間はあります。
なぜこうなるかというと、「人に見られている」という状況が脳に余計な負荷をかけるから。自意識が強くなり、自動化されていたはずの動作がぎこちなくなるんです。
つまり、「人前で崩れた」ということは、そこがまだ自動化されていなかった証拠。弱点が可視化されるのです。
これは怖いことのように聞こえますが、本当は逆です。
弱点がわかれば、そこだけ集中して練習できる。家での練習では絶対に気づけなかった「抜け」を、舞台が教えてくれるのです。
「失敗した発表会」が、一番の財産になる
「止まってしまって、恥ずかしかった…」
以前、初めての発表会でこんなメールをくれた方がいました。
でも、次のレッスンで「もう一度出たいです」と言ってきたんです。
面白いんですよね。うまくいった発表会よりも、失敗した発表会のほうが次への意欲が上がることが多い。
理由はたぶん、「完璧じゃなくてよかった」という発見があるから。
失敗した舞台には、情報が詰まっています。どこで迷ったか、どこで焦ったか。それが全部、次回への具体的な練習課題になります。
「うまく弾けなかった」のではなく「次にやることが見えた」——その視点の転換が、発表会を経験した人だけが持つ財産です。
ぼくが見てきた、初発表会後の生徒さんの変化
具体的な話をしましょう。
神奈川の生徒さん(40代・会社員)は、入会から1年半「発表会はパス」と言い続けていました。それが、ある年に思い切ってエントリー。
本番は止まりながらも最後まで弾ききりました。終わったあとの顔が全然違っていた。
翌月のレッスンで「先生、次はセビジャーナスの2番も弾きたい」と。曲の要求が明確になったんですよね。それまでは「なんとなく練習」だったのが、「次の発表会」という目標ができて、練習に方向性が生まれた。
上達のスピードも変わります。ぼくの印象では、発表会に出た生徒さんは出ていない方と比べて、1年後の伸びが1.5倍から2倍ほど違う感覚があります。
「人前で弾く」という経験が、練習の質そのものを変えるんです。
「まだ早い」はいつまで続く?——発表会を選ぶ基準
「もう少し弾けるようになってから」という言葉、ぼくは何百回と聞いてきました。
正直に言います。「もう少し」は永遠に来ません。
発表会に出ても恥ずかしくないレベル、なんてものはないんです。プロでも毎回緊張するし、完璧な演奏などほとんどありません。
では、いつ出るべきか。ぼくの基準はシンプルです。
- 曲を最初から最後まで、なんとか通して弾ける
- 人前で弾いてみたいという気持ちが1割でもある
これだけで十分です。
「うまく弾く場所」ではなく「今の自分を確認する場所」——それが発表会の本当の意味です。
VIVAフラでは毎年発表会を開催していますが、ぼくが見てきた中で「出なければよかった」と言った方は一人もいません。怖くても一歩踏み出した方は、みんな次を楽しみにしています。
「発表会はちょっと…」という気持ちがある方こそ、まず一度だけ出てみてください。きっと何かが変わります。
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