こんにちは!
フラメンコギター池川です。
「練習しているのに、なかなかギターが上達しない」
そんなとき、つい「練習時間が足りないのかな」「才能がないのかな」と考えたくなりますよね。
先日、ギター未経験からフラメンコギターを始めた生徒さんのレッスンがありました。課題はセビジャーナスの伴奏です。
弾き始めた瞬間、ぼくは「あれ?」と思いました。前回とは音の出方がちがう。なんというか、普段から弾いている感じがしたんです。
理由を聞いてみると、練習の中身よりも前に、「弾く前にやっていること」が変わっていました。
今回は、その生徒さんが実際にやっていた3つのことと、ぼくがレッスンでお伝えした「伴奏するギタリストの最低限のルール」をご紹介します。どれも今日からできることばかりです。
▼ 動画でも話しています
実際のレッスンの様子を、YouTubeで公開しています。生徒さんの言葉と、セビジャーナスの弾き方のポイントがそのまま聞けます。再生しながら読んでも、先に見てからでも大丈夫です。記事はこの下に続きます。
ギターはケースにしまわない|座ったら手が届く場所へ
生徒さんが最初に教えてくれたのは、練習法ではなくギターの置き場所でした。
それまでは、弾き終わるたびにギターケースへしまっていたそうです。
ケースにしまうと、弾くまでにやることが増えます。ケースを出す、開ける、ギターを取り出す、弾き終わったらまた戻す。
ひとつひとつは小さなことですが、「ちょっと時間ができたな」という5分のあいだにこれをやるのは、なかなか面倒です。結果として「今日はいいか」となりやすい。
そこで生徒さんは、ギタースタンドを用意して、リビングのソファーに座ったらすぐ見える場所にギターを置くようにしました。座った瞬間に手に取れる環境です。
置き場所を決めるときの3つの目安
- いつも座る場所から、立ち上がらずに手が届く(または2〜3歩)
- 座ったときに、ギターが目に入る
- 弾き終わったあと、戻すのに5秒かからない
「練習するぞ」と気合いを入れなくても、目に入ったから触る。この流れができると、ギターに触る回数が自然に増えていきます。
直射日光やエアコンの風が直接当たる場所だけは避けて、置き場所を探してみてください。
1日5分でも10分でも、毎日ギターに触る
ぼくはレッスンでよく「1日10分でもいいですよ」とお話しします。
生徒さんはそれを覚えていてくれて、時間ができたら手に取る。5分でも10分でも触るようにした、と話してくれました。
週末にまとめて2時間弾くのと、毎日10分ずつ弾くのとでは、合計の時間は同じくらいでも、音にちがいが出ます。
レッスンで聴いていると、忙しくてしばらく触れていなかった人と、コツコツ触ってきた人は、やっぱり分かります。指の動きというより、音楽が体の中に流れているかどうか、という感じです。
今回の生徒さんは、まさにその「コツコツ感」が音に出ていました。頭の中に音楽が流れているので、少し間違えても止まらずに進めるんです。
5分しかない日にやること
- 曲の最初の8小節だけ弾く
- 苦手なコードチェンジを1か所だけ、ゆっくり往復する
- 弾かずに、コードを押さえて形を確かめるだけ
「ちゃんと練習できない日は、やらない方がまし」と考えなくて大丈夫です。触った日が続くことの方が、ずっと大きな力になります。
弾く前に、お手本を1回聴く
3つ目が、ぼくがいちばん「いいな」と思ったことです。
生徒さんは、弾く前に必ず、お手本の演奏を1回聴くようにしていました。レッスンでぼくが弾いた動画を流して、曲のイメージを入れてから、ギターを持つ。そのあと、動画と一緒に弾く。
それまでは、ずっと楽譜を見ながら練習していたそうです。でも、それだと「曲のイメージにたどり着けなかった」と。
楽譜には、音の高さと長さは書いてあります。けれども、曲の流れや、フラメンコのリズムの「ノリ」までは、なかなか読み取れません。
先に耳でお手本を聴くと、「この曲はこういう感じ」というゴールが頭に入ります。そこへ向かって弾くので、リズムの中にちゃんと入っていけるようになります。
歌えるところは、歌ってみる
さらに生徒さんは、歌えるところは歌いながら弾くこともやっていました。
上手に歌う必要はありません。鼻歌でも「ラララ」でも大丈夫です。メロディを口に出せるということは、その曲が自分の中に入ってきているということ。
セビジャーナスのように歌と一緒に演奏する曲では、これがとくに効いてきます。
弾く前の1分でやること
- お手本の演奏を1回、何もせずに聴く
- もう1回流して、歌えるところを口ずさむ
- ギターを持って、お手本と一緒に弾く
止まらない、弾き直さない|伴奏するギタリストの最低限のルール
ここからは、レッスンでぼくがお伝えしたことです。
セビジャーナスを弾いてもらう前に、ひとつだけお願いをしました。
「間違えてもいいから、止まらない。弾き直さない」
セビジャーナスは、踊りと一緒に演奏する曲です。ギタリストが止まったり、間違えたところを弾き直したりすると、踊っている人のリズムが全部ずれてしまいます。
だから、伴奏するギタリストにとっては、きれいに弾くことより先に、止まらないことが最低限のルールになります。
間違えたら、その音はあきらめる。そして、次に弾けるところから戻ればいいんです。
弾き直していないつもりで、1拍多くなっていませんか?
ここで、もうひとつ気をつけたいことがあります。
「弾き直さないぞ」と思って弾いていても、無意識のうちに、ほんの少しだけ弾き直していることがあります。すると、6拍のはずのところが7拍になっている、ということが起きます。
弾いている本人は、なかなか気づけません。
おすすめは、自分の演奏を録音・録画して、あとで聴いてみることです。足でリズムをとりながら聴くと、「あ、ここで1拍多い」という場所が見つかります。
今回の生徒さんは、「止まらない」はできてきていて、「弾き直さない」は半分くらい。これが0になると、6拍の刻みがぴたっとそろいます。
セビジャーナスは、イントロがいちばんややこしい
セビジャーナスは、歌に入ってしまえば3拍ずつで数えやすい曲です。ところが、イントロは3拍なのか2拍なのか、分かりにくいところがあります。
逆にいえば、イントロさえ越えれば、あとは弾き続けやすいということ。最初につまずいても、がっかりしなくて大丈夫です。
もうひとつ、イントロの終わりにはギターで「締め」のフレーズを1つ入れます。これが「次から歌ってください」という合図になります。踊る人たちの準備が整ったのを見て、締めて、歌へ。弾き方は動画の中で実演しています。
まとめ|上達は「弾く前」に決まっている
今回の生徒さんがやっていたことを、もう一度まとめます。
- ギターはケースにしまわず、座ったら手が届く場所に置く
- 1日5分でも10分でも、毎日触る
- 弾く前にお手本を1回聴く。歌えるところは歌う
そして、だれかと一緒に演奏するなら、止まらない、弾き直さない。
どれも、特別な才能や長い練習時間がいらないことばかりです。それでも、音ははっきり変わります。
レッスンの最後に、ぼくは生徒さんにこうお話ししました。
目標の演奏は、まだまだ遠くに見えるかもしれません。でも、きのうより0.000001秒でも近づいていれば大丈夫。一歩ずつ、近づいていきましょう!
まずは今日、ギターをケースから出して、いつも座る場所のそばに置いてみてください。
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