こんにちは!
フラメンコギター池川です。
「楽譜やTABを見ながらなら弾けるのに、閉じた瞬間に止まってしまう」
ギターを練習していると、こんなことがあります。
そのとき、「暗譜が苦手なのかな」「もっと最初から何回も弾いた方がいいのかな」と考えたくなるかもしれません。
でも、まず確かめたいのは、暗譜ができる・できないという大きな話ではありません。
音を思い出せないのか。リズムを再現できないのか。それとも、音やリズムは分かっているけれど運指で迷うのか。
ここを分けて考えると、次に何を練習すればいいか見つけやすくなります。
楽譜やTABは捨てなくて大丈夫です。むしろ最後に確認するための便利な道具として使います。
今回は、一曲を丸ごと覚えようとせず、まず2小節から試す方法をご紹介します。
楽譜を閉じると止まる理由と見分け方
楽譜を見ながら弾いているときは、目で次の音やコードを確認しながら、その情報を頼りに指を動かせます。
ところが、楽譜を閉じると、その目印がなくなります。
ここで「暗譜ができない」とひとまとめにすると、何を直せばいいのか分かりにくくなります。
止まった瞬間に、次の3つを順番に確かめてみてください。
- 次にどんな音や流れが来るか思い出せるか
- そのリズムを口で再現できるか
- ギターを持ったときに運指を迷わないか
たとえば、楽譜を伏せた状態で「タン、タタ、タン」のようにリズムを言おうとして途中で止まるなら、まず演奏を聴き直してみます。
このとき、いきなりギターを何度も弾くより、「次はどんな流れだったか」をもう一度耳で確認します。
一方、口ではリズムを最後まで言えるのに、ギターを持った瞬間に手が止まるなら、運指を確認する番です。音の高さが曖昧なら、そこも手本と比べてみましょう。
つまり、止まった場所そのものよりも、その場所で何が分からなくなったのかを見るわけです。
これだけでも、練習の戻り先が変わります。
また、本番で止まった理由まで、すべて暗譜ひとつで説明しない方がいいと思います。
緊張など別の要素もあり得ますので、まず普段の練習の中で、音を思い出せるか、リズムを再現できるか、運指を確認できるかを分けて見てみましょう。
2小節で試す「聴く・口で言う・弾いて照合」
ここからは実際の手順です。まず準備として、練習する場所を短く切ります。
おすすめは2小節。長くても4小節くらいです。
このとき大事なのが、どこからどこまでを一区切りにするかです。
適当に2小節を切るより、始まりが分かりやすく、終わりも自分で確認しやすい場所を選びます。
たとえば、フレーズの始まりから次の区切りまで、コードが変わるところから次に変わる直前まで、同じリズムがひとまとまりになっている場所などです。
途中から始める場合は、「この音から始める」「このコードから始める」と開始点を決めます。
終わりも、「この音まで」「次のコードに変わる直前まで」のように決めておくと、毎回同じ範囲を練習できます。
短く切るのは準備。範囲が決まったら、次の3段階で進めます。
①聴く
まずギターを弾かずに、その短い区間を聴きます。
手本の演奏でも、自分で弾いて楽譜と照合した録音でも構いません。自分の録音を使う場合は、覚えたい音やリズムと合っているか先に確認しておきます。
3回ほど聴くというのはひとつの目安です。回数をこなすことより、「次に何が来るか少し分かってきた」と感じられるところまで確認します。
聴きながら、どこでリズムが変わるか、どこでコードが変わるか、フレーズの終わりがどこかを意識してみます。
②口で言う
次に楽譜やTABを伏せます。
そして、聴いたリズムを「タン、タタ、タン」のように口で言ってみます。
まずリズムを確かめる段階では、正確な音高を歌えなくても構いません。
ここで確かめたいのは、歌の上手さではなく、聴いたリズムを自分から再現できるかどうかです。
コード伴奏なら、コード名を口にしたり、「ここで変わる」とタイミングを言ったりしてもいいでしょう。
途中で口が止まったら、そこが聴き直す場所です。
③弾いて照合する
口で最後まで言えたら、ギターで弾きます。そして弾いたあとに楽譜やTABを開いて照合します。
ここでは、まず自分で再現してから答えを見る順番にします。
録音を使うときは、口で言う段階でも比べてみると、違いを具体的に確認できます。
まず短い区間を聴く。次に止めて、自分でリズムを口にする。そのあと同じ区間をもう一度聴き、自分が言ったリズムと比べます。
違っていたら、どこが違ったのかを確認します。そのあとギターで弾き、最後に楽譜やTABを開いて音や運指を確かめます。
聴く→自分で言う→もう一度聴いて比べる→弾く→楽譜で確かめる。
この順番にすると、「説明を聞けば分かる」と「何も見ずに自分で再現できる」を分けて確認しやすくなります。
つまずいたときの切り分け
途中で止まったときは、最初から一曲全部をやり直す必要はありません。
まず、その短い区間の中で何が止まったのかを見ます。
音や流れを思い出せない場合
次に何が来るか分からなくなったら、その部分をもう一度聴きます。
楽譜だけを追う前に、まず音そのものを確かめてみます。
そして、もう一度楽譜を伏せて、短い区間を口で再現します。音の高さまで思い出せるかも、無理のない範囲で確かめてみてください。
リズムを口で再現できない場合
音の雰囲気は分かるけれど、「タン、タタ、タン」のように言うと途中で崩れる。
そんなときは、リズムが変わる直前からもう一度聴きます。
全部を聴き直すのではなく、迷った少し前から聴くのもひとつの方法です。
録音を止め、自分で言い、また録音を流して比べます。
口では言えるけれど運指で迷う場合
これは仮の例ですが、リズムは「タン、タン、タタ、タン」と言えるのに、ギターを持つと3つ目の音で左手が迷うとします。
音の流れも分かっているなら、その3つ目の音の押さえ方や指の移動を確認してみます。
右手でどの指を使うか迷っているなら、そこだけを確認します。
つまり、できているところまで戻りすぎず、運指で迷った場所を確かめるという考え方です。
「暗譜できないから全部やり直す」ではなく、「今は音を思い出すのか、リズムを再現するのか、運指を確かめるのか」を選びます。
また、暗譜したいからといって、楽譜を使わない練習だけにする必要もありません。
先に自分で再現してみて、そのあと楽譜を見る。楽譜は答え合わせの道具として残しておきましょう。
今日の5分と翌日の確認
長い練習時間が取れない日は、短い区間だけを使って5分ほど試す方法もあります。
以下はあくまでひとつの配分案です。
- 1分:今日やる2小節を決め、開始点と終止点を確認する
- 1分:録音や手本を聴く
- 1分:楽譜を伏せて口でリズムを再現する
- 1分:ギターで弾く
- 1分:もう一度録音と楽譜を使って照合する
必ず1分ずつにする必要はありません。
リズムで迷うなら聴く時間を長くしてもいいですし、運指で迷うならギターを持つ時間を増やしても構いません。
ポイントは、5分の中で何度も最初から最後まで弾くことではなく、短い範囲で「聴く・口で言う・弾いて確かめる」を一度通してみることです。
そして、できれば翌日に同じ2小節をもう一度確認します。
まず、何も聴かずに次の音の流れを思い出せるか。次に、楽譜を見ずにリズムを口で言えるか。そのあと、ギターを持って運指を迷わず進められるか。
途中で止まったら、「昨日覚えたのに忘れた」と責めるより、今日もう一度確認する場所が見つかったと考えてみます。
口で言えなければもう一度聴く。音やリズムは分かるのに手が止まれば運指を見る。
昨日と同じ場所で止まるのか、別の場所で迷うのかを見るだけでも、次にやることを決めやすくなります。
暗譜というと、一曲全部を頭の中へ入れる作業のように感じるかもしれません。
でも、最初から大きな一曲を相手にしなくても大丈夫です。
まず2小節。短く切って、聴く。口で言う。弾いて照合する。
止まったら、「音を思い出す」「リズムを再現する」「運指を確かめる」のどれをするか決める。
この小さな確認を重ねながら、音と指の両方を少しずつつなげていきましょう。
この練習方法は、動画「楽譜を閉じると弾けない?」でも解説しています。
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