こんにちは、池川です。
札幌に来ています。
さて、こちらでもお話しましたが、自分の人生を振り返る的な本を執筆中です。
その名も、
「アルバイト生活だったぼくが、プロギタリストになって生活できるようになった話(仮)」
来月5日がぼくの誕生日ということもあり、その前に出版したいなぁと思って執筆していましたが、時間が経つのは早いもので、なんと今月は今日で終わりです。
というわけで、札幌までのフライト中でも、新千歳空港から札幌市内への電車の中でも、そしてホテルにチェックインした今もせっせと執筆しています。
(ちなみにホテルは繁華街「すすきの」のど真ん中。ギラギラしております。)
この記事の目次
改めて自分の原点を振り返ってみた
つい先日。タイムリーにはこちらのライブが情報解禁となりました。
ぼくがお世話になった学生フラメンコ連盟が毎年、千葉県館山市で行っているフェスティバルの25周年の記念イベント。
こちらにゲスト出演させていただくことが決まりました。
実はぼくは学生フラメンコ連盟がある大学の生徒ではなく、外部から通っていたいわば「インカレ」のような存在だったのですが、当時の部員のみんなは分け隔てなく接してくれました。
ぼくがプロを目指そうと思ったきっかけも、この時出会った友人の一言がきっかけでした。
「ぼくがどうやってプロを目指そうと思ったのか?」「どうしてこの道を選んだのか?」
せっかくなので、執筆中の本文から、当時の様子をまるごとお届けします。
ぼくがプロギタリストを目指すきっかけになった出会い
周りが就職活動をしている中、どうギターを仕事にするのか悩み途方に暮れ、気持ちばかりが焦っていた大学3年生の終わり。
忘れられない出会いがありました。
インターネット上でたまたま知った「学生フラメンコ連盟」という団体です。
ここは、関東を中心に「フラメンコサークル」がある大学が連盟を結んだもので、年に1度、合宿や公演も行っているとのこと。
「自分と同じ大学生がフラメンコをやってる!?」
ぼくは子どものころからフラメンコギターを弾いてきましたが、フラメンコを通じて仲間と呼べる人はいませんでした。いたとしても、ぼくよりも年上のことが多かったのです。
「自分と同じ歳ぐらいの人達が、フラメンコをしている」ことを知ったぼくは、ここに何かヒントがあるかもしれないと感じ、団体に所属していた大学サークルにメールを送ることにしました。
「はじめまして。池川と申します。大学3年生で、フラメンコギターを弾いています。よろしければ、一度そちらのサークルを見学させていただけないでしょうか?」
こんな文面のメールを送ったところ、ほぼすべての大学サークルが返信が来ました。
そして、日程が合う限り見学させてもらうことになりました。
初めて訪れた他の大学で見た光景。それは新鮮そのものでした。
ドアを開けるとフラメンコの踊り子さん達が熱心に、そして楽しそうに練習をしていました。
同年代の人達が、情熱を持ってフラメンコを練習している―。
その時の光景は今でも忘れられません。
部員の皆さんは、部外者のぼくを喜んで歓迎してくれました。
話をしてみると、フラメンコを踊る人の数は多くても、フラメンコギターで伴奏できる人はとても少ないとのこと。
ここではギターが必要とされているー。
この時歓迎してもらえたことが、ぼくの人生を大きく変えることとなるとは、当時は夢にも思っていませんでした。
はじめてのフラメンコ伴奏!しかし…。
学生フラメンコ連盟と出会ってから、ぼくは毎日のように所属するサークルへ足を運びました。
それまで、フラメンコギターはずっと弾いていましたが、ぼくが弾いていたのは楽譜と向き合って弾く「ソロギター」のスタイルでした。
一方、学フラで求められる演奏は「伴奏」スタイル。
自分が弾きたいように弾くソロギターと異なり、踊り手が踊りやすいように弾く必要があります。
踊り手が踊りやすい伴奏を身に付けるために、過去の文化祭で踊った時の映像をもらったり、市販のビデオ見たり、CDを聞いて研究しました。
特に苦労した点は、踊り手の出す合図です。
踊り手は伴奏者に動作や音で合図を出すのですが、当時のぼくにはそれが全く分かりませんでした。
さらに、フラメンコの伴奏は歌い手もいます。歌う手が歌うコード進行にも合わせなくてはなりません。
つまりフラメンコギターとは、「踊り手の伴奏をしながら、歌い手の伴奏もする」のです。
「この曲はどんな流れでできているのか?」
「どこで止まったら良いのか?」
「どうやってタイミングを合わせてリズムを早くするのか?」
「歌詞の意味は何なのか?」
「コード進行はどうなっているのか?」
考えることが多すぎて、分からないことだらけでした。
疑問が生まれるたびに踊り子や歌い手に聞いて、ひとつひとつ解決していくことを心がけました。
そんな中、とある大学から「文化祭で伴奏をしてみないか?」とお誘いいただいたのです。
人生初のフラメンコライブ出演!そして…。
初めての本番での演奏。
とても嬉しかったのですが、生まれて初めて経験するフラメンコの舞台です。
楽しみな気持ちも当然ありましたが、大きな不安に駆られました。
「もし伴奏を間違えたら、周りに迷惑をかけてしまう…」
ですが、悩んでいても始まりません。
緊張や不安と戦いながら、とにかく毎日必死で練習しました。
合わないところがあれば踊り手を捕まえて、合わない原因とより良くする方法を一緒に語り合う。
こうすることで、自然と息も合うようになっていきました。
そして、いよいよ本番当日。
はじめてのフラメンコ伴奏は大きなプレッシャーでしたが、同時に思いっきり楽しんで弾くことができました。
自分のギターで
「踊り手が踊ってる!」
「歌い手が歌ってる!」
「観客がそれを見てくれている!」
そんな喜びを肌で感じることができたのです。
それはとても幸せな時間でした。
ぼくは、演奏前には「間違えても、とにかく止まらずに弾く」と心に決めていました。
自分が演奏を止めてしまうと、歌も踊りも止まってしまうからです。伴奏者にとって止まらずに最後まで弾くことは、最低限の、そして最も重要のことなのです。
演奏中、何か所か間違えてしまった部分もありましたが、止まらずに最後まで弾くことができました。
本番の演奏が終わった後の打ち上げの光景は、今でもよく覚えています。
大学近くの居酒屋で部員ひとりひとりが感想を発表していく中、ぼくは練習の日々を思い返していました。
部外者である自分をあたたかく受け入れて、部員と対等の立場で一緒に練習してくれた。
その気持ちをぼくなりに伝えた後、思わず涙がボロボロと流れました。
ギタリスト人生で、初めて泣いたのはこの時でした。
打ち上げが終わり、しばらくは興奮冷めやらない状態だったこともあり、その日は後輩のギター仲間の家に泊めてもらうことにしました。
彼とサシで明け方までギターについて語り合い、気付いた時にはもう明け方。
酔い覚ましにと近くの公園を2人で散策していた時、彼が何気なく口にした言葉。
これこそが、ぼくの人生を決定づけるものだったのです。
(続きは6月上旬発売予定の「アルバイト生活だったぼくが、プロギタリストになって生活できるようになった話(仮)」にて)
とりあえずお寿司食べて、明日からのライブを頑張りまーす!
ではまたー!
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