伴奏ギタリスト、絶滅危惧種——広島で見えたフラメンコ界のリアル

こんにちは!

フラメンコギター池川です。

「この街に来てくれる伴奏ギタリストは、隣の県からフェリーで来るんです」

先日、広島を訪れた際、こんな話を聞いて、ぼくは少し言葉を失いました。

広島という、あれだけの大都市で、ですよ。

フラメンコを踊る方はたくさんいらっしゃる。先生もいらっしゃる。愛好家もいらっしゃる。それなのに、生ギターで伴奏できる人がほぼいない。一番近い人でも、海を渡って来てもらう。高速艇で1時間、普通のフェリーなら3時間。

これが、いまの日本のフラメンコ界のリアルです。

この記事の目次

地方で起きている「伴奏ギタリスト絶滅危惧種」の現実

広島での滞在中、現地の先生方とお話しする機会がありました。そこで、あらためて突きつけられたんです。

発表会の前日、もしくは1〜2ヶ月前に数回。つまり年に5回か10回。それが踊り手さんたちにとっての「生ギターと合わせる頻度」なんだと。

これ、冷静に考えるとすごいことです。

あれだけ踊れる方たちが、生のギター・生の歌と合わせる機会が、年にたった数回しかない。普段はCD音源での練習。本番だけ生伴奏。でも、それはギタリストが足りないから、そうせざるを得ないんです。

そしてこれ、広島だけの話じゃないんですよね。北海道も、東北も、九州も、四国も、地方都市の多くが同じ状況に置かれています。

生ギターと合わせられる環境は、それだけで財産

地方でも、ありがたいことに、伴奏してくれるギタリストがいらっしゃる教室はあります。

これ、本当に稀有なことなんです。

地方でフラメンコを続けている踊り手さんにとって、「生ギターで合わせられる環境がある」というだけで、ものすごい財産です。上達のスピードも、表現の深さも、CD相手とは比べものにならない。

でも、この環境を全国に広げていくには、ギタリストの数が圧倒的に足りない。

ぼくの目標はシンプルです。

全国47都道府県に、伴奏できるフラメンコギタリストを配置すること。

これを、ぼくは本気でやっていこうと思っています。

発想の転換:踊り手さんが自分でギターを持つ、という選択肢

もちろん、ぼくが動いてギタリストを育てていく。それは続けます。

でも、同時にもう一つ、面白いアイデアがあるんです。

それは、踊り手さん自身がギターを手に取るという選択肢。

「いやいや、踊りで精一杯ですよ」「楽器なんて触ったことない」

そう思う気持ちはよくわかります。でも、ちょっと想像してみてください。

あれだけ踊れるのに、ギターと合わせる経験が少ない。だったら、ギタリストに寄り添ってもらうのではなく、もう少し短く、簡単に、自分で弾いてみる。それをやることの学びや気づきは、計り知れないと思うんです。

「ギターの気持ちがわかりました」

この一言が言えるようになるだけで、踊りそのものがガラッと変わります。コンパスの取り方、レマーテの入り方、ファルセータへの間の置き方。全部、自分でギターを触ったことがある人のそれは、深みが違う。

別に名人級に弾けるようになる必要はないんです。自分の振付に合わせて、短く、簡単なファルセータを自分で弾ければいい。

楽譜が読めなくても大丈夫。ぼくの教材『フラバン』なら、数字の並びを追うだけで弾けるように作っています。簡単だとは言いません。難しいです。でも、自分のギターで踊れる瞬間が来た時、世界は確実に変わります。

広島で出会った、年齢を超えた愛好家の姿

広島では、長く踊りを続けてこられたシニア世代の愛好家の方々ともお話しする機会がありました。

皆さん、本当に元気なんです。目が輝いている。フラメンコの話になると止まらない。

そんな方々の姿を見ていると、年齢を理由にして「もう遅い」とか言っている場合じゃないな、とあらためて思いました。

ぼく自身、40代半ばになって、どこか「もう若くはないし」と思ってしまう瞬間があります。でも、70代、80代で現役の愛好家を目の当たりにすると、そんなのただの甘えだとわかる。残された時間で、やれることはまだ山ほどある。

繋がりがなければ、伴奏は成立しない

広島で強く感じたのは、伴奏ギタリストに必要なのは技術だけじゃない、ということ。

もちろん技術は大前提です。でも、それと同じか、それ以上に大事なのが繋がりなんです。

踊り手さんや先生方と繋がっていなければ、そもそも声がかからない。声がかからなければ、伴奏する機会そのものが存在しない。機会がなければ、腕は錆びていく。

だから、ぼくは繋ぎ役をやりたいんです。

地方の先生方からは「卵でもいいから、伴奏できるギタリストがいたら紹介してほしい」という声をよくいただきます。高速バスや新幹線で駅まで来てくれるギタリストが1人いるだけで、地方の踊り手さんの環境は激変します。

これを全国でやる。これがぼくの残りの人生でやるべき仕事だと、あらためて確信した広島の夜でした。

もしあなたが「ただ弾いているだけ」だとしたら

長年ギターを弾いてきた。技術もある程度ある。でも、1人で家で弾いているだけ。

そんな方、実はたくさんいらっしゃいます。

ぼくの教室にも、そういう経歴の方が門を叩いてくれることがあります。そして、伴奏ギタリストの世界を知って、目を輝かせて帰っていかれる。

踊り手さんと合わせる。歌い手さんと合わせる。その緊張と喜びは、1人で弾いているだけでは絶対に味わえない世界です。

そして、あなたの住んでいる地域でも、確実に「伴奏できるギタリスト」を必要としている踊り手さんがいます。

ギターを長年弾いてきた。でも1人で弾いているだけでいいのだろうか——。そんな気持ちがある方は、まずぼくのメールセミナーを読んでみてください。全8通で、週末を使って伴奏ギタリストをやっていく道筋を、正直にお伝えしています。

フェリーで海を越えて来てもらうギタリストではなく、あなた自身が地元で必要とされる存在になる。そんな未来を、一緒に描いていきませんか。

 

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