こんにちは!
フラメンコギター池川です。
振付どおりにジャマーダを踊ったのに、ギターも歌も来ない。
「いまのジャマーダだったんですか?」と、あとで聞かれてしまう。
踊り手さん
池川今日は、練習会のあとに踊り手さんからいただいたこの質問をもとに、合図が伝わるときに伴奏者が感じている「3つの変化」と、レマーテやジャマーダが何のためにあるのかをお話しします。
▼ 動画でも話しています
踊り手さんとの対話の中で、ギターを弾く側の感覚をお話ししています。再生しながら読んでも、先に見てからでも大丈夫です。記事はこの下に続きます。
踊り手は、ダンサーであり、パーカッションであり、指揮者

ぼくはよく、こう言っています。踊り手は、ダンサーでもあり、パーカッションでもあり、指揮者でもある。
歌を呼ぶジャマーダ、リズムを止めるシエレ。こうした「レマーテ」と呼ばれる盛り上がりや区切りは、踊り手さんが出す「次はこれに行きたい」という合図です。
その合図があるから、ぼくたちギタリストは「ファルセータを弾こう」「歌の番だな、歌の伴奏に回ろう」と動けます。逆に言うと、合図がはっきりしないと、次の場面に行きたくても行けないんです。
ジャマーダは「振付の一部」であると同時に、後ろにいる人への「メッセージ」です。
合図が伝わる「3つの変化」

では、伴奏者は何を手がかりに合図に気づいているのか。ぼくは、次の3つの変化だと考えています。
1 音量の変化
小さな音から、いきなり大きな音が来る。すると「あ、何か違うことをやりたいのかな」と気づけます。反対に、ずっと大きかった音が急に小さくなるのも、立派な変化です。
2 音数の変化
それまで細かく刻んでいた足が、急に音数が減って、大きな音で「ダン、ダン、ダン」と来る。そうすると、こちらは「何か弾かなきゃ、何か歌わなきゃ」という気持ちになります。
3 動きの変化
小さな動きがだんだん大きくなる。あるいは、大きかった動きが急に小さくなる。これも「何かが始まる予感」として後ろに伝わります。
この3つは、掛け算で効いてきます。音も聞こえにくく、振りも小さいまま、いきなり止まると、伴奏者は「いまのはジャマーダ?」と迷ってしまう。よく起きる「事故」は、たいていこの形です。
合図は「バトンの受け渡し」

ぼくたちはCDではありません。何もしなくても歌が来る、何もしなくてもファルセータが始まる、というものではないんです。
本当は、踊り手さんのエネルギーがわーっと来ると、歌い手は「そう来たか」と歌いたくなるし、ギタリストは「よっしゃ、ギターの番だ」とファルセータを弾かされる。エネルギーの交換、役割の交代。そのためにレマーテやジャマーダがあります。
踊り手さんそうなんです。小さな声で遠慮がちに渡すのではなく、「はい、どうぞ!」と渡す。こちらも弾き終えたら、締めのフレーズをしっかり弾いて「次は踊り手さんの番です」と返す。そして踊り手さんがシエレで締めてくれたら、エスコビージャやシレンシオへ…と、バトンが回っていきます。
このイメージを持つと、振付を習うままに踊るのではなく、意思を持って、後ろに伝えるために踊る感覚が育ってきます。
伝わる合図のためにできること

合図をはっきりさせるのに、特別なことはいりません。土台になるのは、やっぱり基礎です。
- 大きな音と小さな音を、はっきり出し分ける
- ブエルタ(回転)を鋭く決める。ふわっと回ると、こちらも引っぱられて迷います
- 基礎のテクニカ(足の技術)で、音の大小と細かさを自由に変えられるようにする
- 振付の「ここで渡す」を自分で分かったうえで踊る
踊り手さんがシャッと来てくれると、ギターもわっと反応できます。お互いが「合図って何のためにあるのか」を分かっていると、踊るのも弾くのも、ずっと楽しくなります。
次の練習で確かめること
- □ 振付の中のジャマーダ・シエレの場所を言える
- □ そこで「音量・音数・動き」のどれを変えるか決めた
- □ 鏡か録画で、後ろから見て変化が分かるか確かめた
- □ 言葉の意味が分からないときは、先生に確認した
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