スペイン留学してもフラメンコの伴奏ができなかった理由——知識と実践のあいだにある壁

こんにちは!

フラメンコギター池川です。

先日、ぼくが主宰する

週末フラメンコギタリスト養成塾に、

こんな方から面談のお申し込みをいただきました。

「エレキやアコギを20年弾いてきて、昨年はスペインのグラナダに2ヶ月滞在。

現地のフラメンコギタリストのもとで、

ソレア、ファンダンゴ、タンゴ、シギリージャを学んで帰国」

という方です。

メッセージにはこう書かれていました。

「ファルセータ中心の学習だったため、
伴奏に関する知識や実践面にはまだ抜けが多いと感じています」

これを読んで、ぼくは思わず

「あ、これぼくのことだ」

と思いました。

ぼく自身も、スペインに留学したことがあります。

そのときに感じたのが、まさにこれと同じことでした。

この記事の目次

ネタは増えた。でも現場では何も弾けなかった

留学中は毎日レッスンを受けて、ファルセータをたくさん覚えました。先生から「これを覚えなさい」と渡されたフレーズを、必死に練習して身につける。そういう日々でした。

帰国したとき、ぼくの手元にはたくさんの「ネタ」がありました。

でも、いざ踊り手さんの伴奏をしようとしたとき、ぼくの頭は完全に止まりました。

どのタイミングで弾き始めるのか。どこでフレーズを切るのか。踊り手さんが次に何をしようとしているのか、まったく読めない。

覚えたネタは山ほどあるのに、どれをどう使えばいいのかが、わからない。

あのときの感覚は、今でもよく覚えています。

「あれだけ練習したのに、なんで弾けないんだろう」

という、静かな混乱でした。

留学で得られるものと、得られないもの

誤解してほしくないのですが、留学はすごく価値があります。

本場の空気を吸うこと、現地のリズムを体で感じること、スペイン語で音楽を受け取ること。

これはどこにいても代替できないものです。

ただ、現地のレッスンのほとんどは

「ファルセータ(メロディのネタ)を教える」ことが中心です。

先生が弾いて見せる。それを覚える。次のフレーズに進む。

このサイクルで学びが進んでいきます。

それは決して間違いではありません。

でも「伴奏の現場でどう動くか」は、

誰も体系的には教えてくれなかった。

少なくともぼくの経験では、そうでした。

現地でファルセータを学ぶことと、

日本で伴奏の実践力を身につけることは、

別の学習なんです。

「知っている」と「使える」のあいだにある壁

少し乱暴なたとえですが、こう考えてみてください。

ファルセータは「語彙」です。

たくさん覚えれば、引き出しは増える。

でも伴奏は「会話」です。

語彙をいくら持っていても、相手の言葉を聞いて、流れを読んで、

タイミングよく返せなければ、会話にはなりません。

語彙と会話は、練習の仕方がまったく違います。

フラメンコの伴奏で必要なのは、

踊り手や歌い手の「次の動き」を先読みする感覚、

コンパス(拍節)の中で自分の位置を把握する感覚、

そして「合わせながら弾く」という経験の積み重ねです。

これは、ひとりで譜面を覚えるのとは、

根本的に異なるトレーニングです。

その壁を越えるために必要なこと

では具体的に何をすればいいか。ぼくが考える順番はこうです。

①コンパスを「感じる」レベルまで落とし込む
頭でわかっているコンパスと、体で刻めるコンパスは別物です。まずここを徹底的に固めます。

②カンテ(歌)の構造を知る
伴奏とは、歌や踊りに「合わせる」ことです。そのためには、相手が何をしようとしているのかを理解する必要があります。カンテの節(フシ)の区切り方、入りのタイミング、終わりの形。これを知るだけで、伴奏の見え方が変わります。

③実際に合わせる経験を積む
どれだけ個人練習を重ねても、合わせる経験は合わせることでしか積めません。踊り手や歌い手と実際に音を出す機会を、できるだけ早い段階から作ることが大事です。

この3つは、順番に積み上げていくものです。

どれかが欠けても、伴奏デビューへの道は遠くなります。

「抜けがある」と気づいた人は、すでにスタート地点に立っている

冒頭でご紹介した方のメッセージに、こんな言葉がありました。

「伴奏に関する知識や実践面にはまだ抜けが多いと感じています」

ぼくはこれを読んで、正直に言うと、すごく頼もしいと思いました。

自分の「抜け」が見えているということは、

何が必要かがわかっているということです。

それは、なんとなく弾き続けている状態とは、まったく違う。

留学して、ネタを覚えて、帰国して、実践しようとして、

初めて「伴奏ってこういうことか」と気づける。

その気づきは、留学しなければ得られなかったものです。

遠回りじゃない。それが本当のスタート地点です。

ぼくも同じ場所を通ってきました。

だから、そこから先の地図は、一緒に描けると思っています。

もし「自分もそうだ」と思った方は、

まずぼくのメールセミナーを読んでみてください。

全8通で、フラメンコギターの伴奏力をどう身につけていくかを、

正直にお伝えしています。

ギターは長年弾いてきた。

でも伴奏となると、どこから手をつければいいのかわからない

——そんな方に向けて書きました。

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